コラム「ひきこもり支援の現場から」第17回

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人おこし事務局長の能登が、美作市社会福祉協議会の広報誌「はい!社協です」に連載しているコラム「ひきこもり支援の現場から」。若者たちと過ごす日々の中で感じることを、少しずつコラムとして綴っています。社協さんに快く許可をいただきましたので、こちらのウェブサイトにも掲載いたします。

コラム「ひきこもり支援の現場から」第17回

実践編④冷めたお粥もほかほかに♡


前回は、プライバシーを侵害するほどの熱々お粥は子どもの安心を妨げちゃうよ、でもだからといって放っておくのは冷ましすぎ・・というお話しでしたね。ではどうすればよいのでしょうか?

普段お粥を作るときのことを思い出してみてください。もちろん火加減も気をつける必要がありますが、もっともっと大事なことがありますよね。そう!「愛情」です。仕事帰りで疲れていても、風邪をひいてしんどそうな我が子のため、って思ったらがんばれますよね。そんな愛情たっぷりのお粥が一番おいしいはず!

実は「放任」と「見守り」を分ける一番大切な要素もやっぱり「愛」なんです。とはいえ欧米人ではないので、毎朝「アイラブユー」はこっぱずかしいですよね。笑 安心してください、日本人流で大丈夫です!顔を合わせたら「おはよう」、なにかしてくれたら「ありがとう」、優しい笑顔、そして愛情たっぷりのご飯、そういう日常の積み重ねだけで「あなたのことが大切ですよ」「あなたの味方ですよ」という気持ちは十分伝わります。そしてそれは彼等の中に「いざとなったら家族に助けてもらえる」という安心を育んでくれます。

でもたとえ愛があっても、見守るだけで何も言わず、何もしなかったら、何も変わらないのでは?って思われるかもしれませんね。でもそうではないんです。ぜひだまされたと思って試してみてください。すると自然にわかってくると思います。親が何も言わないということはすなわち「あなたのあるがままを認めていますよ」「あなたのことを信頼していますよ」というメッセージになっているんだということに。

そして逆に、子どもへの手出し口出しは「あなたの今の状態はダメだと思っています」「あなたのことを信頼していません」というメッセージになってしまうことを意味しています。子どもの立場からすると、毎日自分を否定され続けるということです。でも子どもはそのつらさをうまく言葉で表現できません。「自分の存在を否定されてつらいです」なんて主張するのは、子どもには難しいですよね。だから言葉じゃない形で現れてきます。イライラ、反抗、ゲームに逃避、夜中生活、などなど・・・。

なにごとも答えはシンプルです。お粥を冷ましすぎないコツは・・ずばり「愛」!!そう、みなさんがたっぷり持っているものです。そしてお金もかかりません。笑 ぜひ今日からでも試してみてくださいね。

ひきこもり支援コラム|クマに冷めたお粥

美作市社会福祉協議会発行「はい!社協です」 2025年1月号