コラム「ひきこもり支援の現場から」第16回

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人おこし事務局長の能登が、美作市社会福祉協議会の広報誌「はい!社協です」に連載しているコラム「ひきこもり支援の現場から」。若者たちと過ごす日々の中で感じることを、少しずつコラムとして綴っています。社協さんに快く許可をいただきましたので、こちらのウェブサイトにも掲載いたします。

コラム「ひきこもり支援の現場から」第16回

実践編③お粥の火加減には要注意!


実践編①②は「あったかお粥」で安心してひきこもらせてあげましょう、というお話でしたね。

でもお粥が熱すぎて火傷をしてしまってはいけませんので、今回はその火加減について少しお話ししておこうと思います。

一定の年齢を超えると、彼らは「お母さんの子ども」ではなくなり、一人の人間になり始めます。当たり前のことですよね。でもときに、子どもの成長速度に親御さんの気持ちが追いついていないことがあります。

例えば、許可なくお子さんの部屋に入って嫌な顔をされたり、それどころか大きな声で怒られてしまったり、そんな経験ありませんか?

もちろんお母さんとしては、

「たまには空気の入れ替えをしないと体に悪いし」

「散らかってるから、ちょっとだけ片付けようと思って」

ただそれだけのこと、お子さんのことを思ってのことですよね。

でも、私があなたのお家に「入りますよ〜」と言いながらどかどかと入っていったらどうでしょう?通報レベルの権利侵害ですよね。笑 これと同じように、例え親であっても子どもの部屋に許可なく入ることは、一人の人間としての彼らの権利を侵害することになりますし、彼等の「安心」を大きく損ねてしまうのです。

部屋だけではありません。お子さんが久しぶりに出かけたら「どこ行ってたの?」、誰かと電話したら「あら珍しいわね、お友達?」、こんな声がけも同様です。我が子のことが心配なのはわかります。でもなにか行動を起こすたびに詮索・干渉されてしまったら・・安心できないばかりか、せっかくの彼等の自主的なアクションの芽をつんでしまうことにもなりかねません。

そんなお話をすると「じゃ、放っておけってことですか?」って思われるかもしれません。

その答えは・・・半分正解!そして半分不正解です。

プライバシーを侵害してまで手出し口出ししてしまうのは、火傷レベルの熱々お粥。少しクールダウンが必要です。でもだからと言って完全に放っておくのは、冷蔵庫で冷やしたお粥のようなもの・・・ちょっと食べたくないですよね。

そう、ひきこもる彼らの安心を担保する「あったかお粥」のちょうどよい火加減は、意外に難しいものなんです。そしてそれは、小さな頃から大事に育ててきた最愛の我が子だからこそ難しいもの。しかもひきこもっているとなると、毎日顔を合わせるのですから尚更、ですよね。

ということで、お粥を冷ましすぎないためのコツについては、また次回!

ひきこもり支援コラム|やけど

美作市社会福祉協議会発行「はい!社協です」 2024年11月号