人おこし事務局長の能登が、美作市社会福祉協議会の広報誌「はい!社協です」に連載しているコラム「ひきこもり支援の現場から」。若者たちと過ごす日々の中で感じることを、少しずつコラムとして綴っています。社協さんに快く許可をいただきましたので、こちらのウェブサイトにも掲載いたします。
コラム「ひきこもり支援の現場から」第10回
リーチ!一発!社会復帰!?
人おこしシェアハウスでは今、麻雀が大ブーム。夕食後のリビングからは「リーチ!」「う〜ん、安牌(アンパイ)にしとこ」なんて声が聞こえてきます。
不健全!って思いますか?確かに「そんなことのために入居料払ってるんじゃない!」と思われる親御さんもおられるかもしれませんね。
でも麻雀中の彼ら、とっても生き生きしていて楽しそう。
「どうしても働けない」「夜、部屋にいると不安に押しつぶされる」「もう死んだほうがまし」
生きづらい彼らが必死でもがく姿をいつも見ている私にとって、無邪気に麻雀に興じる彼らを見られるのは、ハートウォーミングなひとときです。
とはいえ麻雀などは「遊び」ですから、先に繋がるものではありません。そう、現代社会では、「今この瞬間を楽しむ」ことの価値は低く、「将来につながる」「目標を持った」行為が高く見積もられるのが通例です。
でも本当にそうでしょうか。もし「今を楽しむ」ことに価値がないのであれば、人間はなぜそのことに喜びを感じる遺伝子を持っているのでしょうか。例えば、子どもを何人か野に放てば、おそらく朝から晩まで遊び続けるでしょう。それは人間本来の欲求で、子どもにとって必要だからこそ、そのように遺伝子に組み込まれているのではないでしょうか。
ところが現代社会では、そういった「今を楽しむ」行為は、「無駄」と断罪され、机に向かうこと、授業をだまって聞くこと、が「将来に繋がる」と評価されるのです。これは遺伝子の欲求とは正反対です。今、この瞬間、を思いっきり楽しむことを許されずに育った子どもたちが、大人になってから、この世界に生きることを楽しめるでしょうか。
図1,2のようなデータが、その答えを私たちにつきつけているのではないでしょうか。
だからといって「小学校で麻雀を教えよう!」とは言いませんが・・せめて私は、若者たちが「今を楽しむ」時間を大切にしてあげたいという思いを込めて、、
「ロン!白(ハク)のみ・・」 今宵も大人の世界の厳しさを、彼らに教えてあげるのです。笑
美作市社会福祉協議会発行「はい!社協です」 2023年11月号