コラム「ひきこもり支援の現場から」第2回

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人おこし事務局長の能登が、美作市社会福祉協議会の広報誌「はい!社協です」に連載中のコラム「ひきこもり支援の現場から」。若者たちと過ごす日々の中で感じることを、少しずつコラムとして綴っています。社協さんに快く許可をいただきましたので、こちらのウェブサイトにも掲載いたします。

コラム「ひきこもり支援の現場から」第2回

「魔法の薬」は暴力息子もだまらせる?!


昨年、人おこしシェアハウスに入居した方を対象にアンケートを行い、入居前の家族との関係を聞いてみました(下図)。

ひきこもり支援コラム|家族関係

すると「対立」「暴力まで至った」方、合わせてなんと約40%。実際、本人や親御さんから聞く話は壮絶で、中には「包丁」「警察」なんて物騒なワードも。

「そんな暴力息子を全国から集めとるんか・・」って思いましたか?

ちょっと待ってください。わたくし、不良少年たちを力で屈服させるような武闘派とは程遠く・・かといって助さん角さんのようなツワモノスタッフが脇を固めているわけでもありません。ではどうやって、そんな物騒な若者たちを従わせているのでしょうか?

それはもちろん、例の「薬」の効果・・・ではありません。

正解は「なにもしない」んです。なぜなにもしないかというと、「彼らがなにもしない」から。これまで人おこしシェアハウスに入居した66人、誰一人として暴力などふるったことはありません。みんなとてもまじめで温厚、むしろ暴力を毛嫌いしている人の方が多いくらいです。

ではそんな彼らがなぜ暴力を?それはつまり、それほどのストレスが彼らにかかっていたということなんです。

本人:「働きたくても働けない・・」「将来生きていけるか不安・・」

家族:「なにを甘えとるんじゃ!」「同級生の◯◯君は立派に働いとるがな!」

そう。誰もわかってくれないんです。自分の状況を、気持ちを。しかも一番身近にいて一番の理解者でいてほしい親が、理解してくれないどころか自分を責め続ける。そんな日々が365日続いたら・・手近にあるものの一つくらい投げ飛ばしたくなります。「だれかわかってくれよ!!」って大声で叫びたくもなります。そして「包丁」や「警察」はその延長線上にあるんです。

だから、その極限のストレスから解放され、同じ経験をした仲間たちがいて、理解してくれる大人たちに見守られていたら、もうそんな物騒なアイテム必要ありません。あとはちょっと遅れてやってきた青春を取り戻し、社会への一歩を踏み出すだけ。 そう、魔法の薬にはいろんな効能があるんです。

美作市社会福祉協議会発行「はい!社協です」 2022年7月号