コラム「ひきこもり支援の現場から」第20回

ひきこもり支援コラム20

人おこし事務局長の能登が、美作市社会福祉協議会の広報誌「はい!社協です」に連載しているコラム「ひきこもり支援の現場から」。若者たちと過ごす日々の中で感じることを、少しずつコラムとして綴っています。社協さんに快く許可をいただきましたので、こちらのウェブサイトにも掲載いたします。

コラム「ひきこもり支援の現場から」第20回

実践編⑦ 竜王攻略の「裏技」を伝授!


前回は「竜王(=ひきこもり)」攻略の長期戦を乗り切るには、まず仲間を作ろう!というお話でしたね。今回はもう一つ、「裏技」とも言えるコツをお伝えしておこうと思います。

その裏技はというと・・経験ある支援者に伴走してもらうことです。

「え?普通やな・・」って思いましたか?でもよく考えてみてください、これってドラクエで言うと「何回もクリアしたことのある熟練ゲーマーに相談しながらゲームをできる」ようなものですよね。もう絶対クリアできそうな気がしてきませんか?

熟練ゲーマーに伴走してもらうメリットの一つは、ネガティブサインに気づいてくれること、つまり「その宝箱ギミックじゃけん触らん方がええで」というやつです。例えば、ひきこもり問題には、発達障害、知的障害、精神障害などが関係していることが多いのですが、ずっと近くで見ている家族はそのサインに気づきにくいのです。そんな時、熟練ゲーマーであれば客観的な見立てをして、家庭内での対応方法を考えてくれるでしょうし、もしかしたら、医療機関受診の際に医師に要点を説明してくれるかもしれません。とっても心強いですよね。

また逆に、ポジティブなサインに気づいてくれることもあります。お母さんが「最近のうちの子ときたら・・」といつものように愚痴を漏らしたところ、「その穴に落ちた先でアイテム拾ったら竜王倒せるで」「ええ?!そうなん?」なんてことは、ドラクエでも支援現場でも本当によくあることです。経験のある支援者は「ひきこもり回復プロセス」にありがちなサインをよく知っていますから。

ひきこもり問題は、変化に乏しい地道な日々が続くので、どうしても不安やいらだちに押しつぶされそうになってしまうもの。だからこそ、伴走者がそういったポジティブな変化を見逃さず、一緒に喜び合ってくれたら、とっても大きな心の支えになりますよね。

とはいえ実際のひきこもり問題はドラクエのように単純なクエストではありませんし、支援者も万能ではありませんから、「一度相談したけど・・・」ということもあるかもしれません。でも諦めないでください。私たち支援者も、支援環境改善のための話し合い&学び合いの場を作り(美作市子ども・若者支援者会議)、さらに現場で経験を重ねながら、みなさんのお役に立てるよう、日々研鑽を積んでいます。ぜひ頼っていただけたら嬉しいです。

*上記「美作市子ども・若者支援者会議」は岡山県美作市の支援者が集う会議ですが、みなさまのお近くの支援者さんたちも日々研鑽を積んでいるはず、ぜひ一度相談してみてください!

美作市社会福祉協議会発行「はい!社協です」 2025年7月号