ひきこもり支援コラム21

生きづらさを抱えた若者たちと過ごすドラマチックな日々。そんな中で彼らから教えてもらったたくさんのこと、そして湧いてきた思いを、ドラクエの例えやクイズ形式で軽快に綴る人気コラム。 *美作市社会福祉協議会発行「はい!社協です」連載コラムより転載

ひきこもり支援の現場から|第21回

クイズ① ひきこもりの息子のために仕事を辞めるべき?


さて今回は、クイズに挑戦してみましょう。

20歳になる息子がひきこもって3年。母親であるあなたは、次の3つで悩んでいます。あなたならどうしますか?

  • ①仕事は続けたいけど、せめて趣味のバレーボールはやめて、息子の面倒をみる。
  • ②これ以上長引かせてはいけないので、一時的にでも仕事と趣味を両方やめて、息子に向き合う。
  • ③どちらもやめない。

当コラム愛読者のあなたなら、きっとすぐわかりますよね。(プレッシャー笑)

だってキーワードは「愛」ですから、もちろん正解は②でしょう、って思ったそこのあなた!残念ながら「ブッブー」です。

おそらく、ひきこもり専門支援者の多くは、③をアドバイスすると思います。

なぜでしょう?息子さんの気持ちを想像してみてください。

これまで学んできた通り、息子さんは「働きたくても働けない」「学校に行きたいのに行けない」状態にあります。そしてなにより「そんな自分のせいで親を困らせている」ことを申し訳なく思っています。

たとえ表面的には、親に冷たい態度をとったり、乱暴な言葉を投げかけていても、心の底では、お父さんお母さんへの申し訳ない気持ちで傷ついているんです。

そんな時に、お母さんが自分のせいで大好きな趣味を諦めたら・・、自分のために仕事を辞めて家計に負担をかけたら・・、息子さんの心の負担はさらに増してしまうことになります。

また以前のコラムでもお伝えしたとおり、家庭の雰囲気はひきこもり回復に直結しています。そういう意味でも、お父さんお母さんが仕事も趣味も満喫しながら自分らしく生きて、家庭内が明るく暖かくなれば、それは息子さんのあるがままを肯定することに繋がりますから、心の回復を早めてくれるでしょう。

それだけでなく、両親のいない日中は、息子さんにとって安心して1人になれる時間。実はこの時間帯に、買い物に行っていた、とか、散髪に行っていた、なんていう話はひきこもり回復期によくあることだったりします。見守りも大切ですが、少し目を離してあげる時間も必要なのです。 でももちろん、もし息子さんから「〜に行ってみたい」「〜をやってみたい」なんていう希望があったときには、ぜひお仕事や趣味の都合をつけて、全力で応援してあげてくださいね。繰り返しますが、放任と見守りを分けるものは「愛」ですから。

*もちろんケースバイケースなので、判断に迷ったら支援者さんにご相談を!

ひきこもり支援コラム|クイズ◯
ひきこもり支援コラム|クイズx

美作市社会福祉協議会発行「はい!社協です」 2025年9月号

著者

ひきこもり支援の人おこし|能登

NPO法人山村エンタープライズ代表理事

能登 大次

生きづらさを抱える若者たちとの15年にわたる切磋琢磨の日々の中、彼らに必要なのは、究極「優しさ」に包まれることで育まれる「心強さ」と確信。人おこしシェアハウスを起点に「若者の楽園」実現を目指す。

著作

講演

「自分らしさ」と「希望」を取り戻す場所

人おこしシェアハウス

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